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嗅覚教育が、幼児の感受性と、脳の発育を促す

現在は、五感覚教育の時代といわれています。

五感は、幼児の知的活動や感受性の基礎となるもので、これらはバランスよく育てることが大切です。
そのため、いままでメインだった視聴覚教育に偏った教育は、最近では見直されつつあります。

そしてその、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感の中でも特に注目されているのが「嗅覚」――つまり、匂いの教育です。
今回は、子どもの新しい感性を広げるために、そして子どもの脳の発育を良くするために、とても大切な教育のひとつである、嗅覚教育についてまとめてみました。

嗅覚は唯一、大脳に直結している特別な感覚器官

嗅覚教育が注目されている理由は、嗅覚という器官の特異性にあります。

ずばり、嗅覚は五感の中で唯一、処理器官と直結している感覚器官なのです。

他の感覚器官では、見たり、聞いたり、触ったり、味わったりして得た複雑な感覚情報を、いったん視床という場所で吟味するようになっていますが、嗅覚だけは違います。

嗅覚中枢のある辺縁系は「愛着の脳」とも呼ばれ記事、人間の脳の中でも原始的な部位なので、臭粘膜が察知した匂いの情報は、臭神経を通って、どこにも経由せずに直接、大脳辺縁系にある嗅覚野に送られます。

脳に直結しているが故に、嗅覚は、脳そのもの、そして、そこに宿る機能に強い影響を与えてくれるのです。

(詳しくは『6歳までに発達する「愛着の脳」』の記事にて)

匂いは情動や感情に強く影響

人間の脳は、実にその90%が、新しい皮質である大脳新皮質でできています。大脳新皮質は知的活動を司っていて、考えるという人間らしい働きをしてくれています。

対して、嗅覚中枢のある大脳辺縁系は古い皮質で、食欲などの本能的な行動や、喜怒哀楽といった情緒的な行動を司っています。嗅覚中枢の近くに、扁桃体という、情動や感情に関わる中枢があるのです。

ですので、匂いは脳の、理性ではコントロールすることができない本能や感情を支配している部分に直接作用して、強い影響を与えます

たとえば視覚では、ただの四角を見たのみで、感情が揺さぶられるということはほとんどありません。ですが匂いは、主観を通さずとも、体が反射的に反応を示します。腐臭を感じたとき、反射的に息を止めたり、咄嗟に不快感を感じることができるのは、嗅覚が情動と深く結びついているためなのです。

胎児の頃にできあがっている嗅覚器官

嗅覚は、危険から身を守るための重要な機能でもあります。

私たちが動物であった頃、生き残るためには、臭いから安全や危険をすぐさま判断する必要がありました。嗅覚が大脳と直結しているのは、その頃の名残ではないかとも考えられています。

生き抜くために必要不可欠であった嗅覚は、とても早い段階、それも、まだお母さんのお腹の中にいる頃に発達します。

胎児は8週になると鼻の形ができ始め、28~32週頃には嗅覚器官はできあがっているとされています。そのため生まれたばかりの赤ちゃんは、目が見えなくても、お母さんのおっぱいの場所を匂いで探すことができるのです。生まれたての赤ちゃんは、大人よりも嗅覚が鋭いのではないか、とも言われています。

大人以上に優れている幼児期に、脳にダイレクトに情報が伝わる嗅覚を刺激することは、子どもの脳の発育に良いことであるのです。

匂いに結び付いた記憶は、他の記憶よりも強い

ふとした匂いで、途端になにかの情景や記憶が溢れかえる、という体験をしたことはありませんか。

日焼け止めの匂いで、子どもの頃にそれを塗ってくれた母親の手の感触が蘇ったり、雨の匂いで、子どもの時に水溜りを踏んだときの水音を思い出したり、クレヨンの匂いで、子供の頃に描いた絵と、その絵を描いていたときの心境を再体験したり……。クレヨンで落書きをして怒られたときの記憶がまざまざと思い出される、なんてこともあるかもしれません。

この「特定の香りが、その匂いに関連する記憶を呼び覚ます現象のこと」を、プルースト現象といいます。

香りの呼び覚ます記憶は、視覚や聴覚が呼び覚ます記憶よりも鮮明で、古い記憶であるとも言われています。
子どもは、苺の写真を見せるよりも、実際に苺の匂いを嗅ぐほうが、「苺」というものをより強く記憶してくれるでしょう。

本能的な記憶として脳に刻まれた匂いは、情動や感情と、とても密接に結びつきます。「匂い」を意識することで、子どもは様々な体験を、より鮮やかに記憶し、感動に結びつけてくれやすくなるのです。

嗅ぐ、という行為で膨らんでいく感受性

現代では、嗅ぐ、という行為が軽視され、人の嗅覚は鈍りつつあると言われています。

子どもには、どうか匂いを、たくさん嗅がせてあげてください。

花と花、土と木の幹、お味噌汁とごはん、水とお茶、様々なものを嗅ぎ比べることで、子どもの感受性はより広がっていきます。
また、香りに名前をつけるのも効果的です。香りのひとつひとつを細かに認識することは、詳細な嗅ぎ分けができる力を身につけるのにも役立ちます。
今日のは夕飯は何だろう、と、香り当てクイズをするのも良いでしょう。

公園に遊びに行ったとき、ご飯をたべるとき、絵本を読むとき、眠るとき。「どんな色かな?」「冷たいかな? 柔らかいかな?」「あの音はなんだろう」「甘いかな、しょっぱいかな」という声かけの中に、「どんな匂いがするかな?」という一言を加えるだけでも構いません。

香りを嗅ぐ、という行為そのものが、今までにないダイレクトな刺激を脳に与え、子どもの感受性を新たに広げ、膨らましてくれることに繋がるのです。

 

 
(2015年10月22日 追記)

ABOUT THE AUTHOR

土下すわる
フリーライター。1985年生まれ。記事:海外デザインの紹介記事など。 小説:『ぬいぐるみの父』幻創文庫(PN藤村悠生) PBW:『三千界のアバター』(株)フロンティアワークス(GM藤村悠生)
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